2018年1月20日

唐臼で搗く、麹を使わない天然発酵の「味噌玉」づくり

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「奈良の食事聞き書き集」の再現

前回の記事でもご紹介させてもらった元気のいいおじいさん、おばあさんたちの大和高原の民俗文化の勉強会。80代のおじいさんたちがさらに年配のおじいさん、おばあさんたちに聞き取り調査をされてきました。

ただ聞くだけではなく、ああだった、こうだったといいながら、実際に作ってみると発見が多いものです。ど○ろく、養蚕、凍み豆腐、こんにゃく、味噌玉づくりと、実践を通して昔のナリワイを学びます。


前回記事:
大和高原にすごいおっちゃん集団がいた!古老たちに学ぶ山の暮らし


麹を使わない味噌作り

今月の定例会では、「奈良の食事聞き書き集」でも取材されている田和家の味噌玉を再現。

お味噌作りと言えば、蒸した豆に麹(米麹、麦麹、豆麹など)をあわせるのが通常ですが、麹を混ぜないつくり方が、山間部には伝わっています。見た感じ、まるで韓国のテンジャンのようです。

まずは大豆を煮ます。自家用味噌をつくってるおばあたちは、味噌用の豆、豆腐用の豆、しょうゆ用の豆、それぞれ、豆を選り分けていました。青大豆がうまいという家庭もあれば、黒豆の産地、丹波地方なんかは黒豆でお味噌を作るのが主流だったりします。

今回使うのは3種類の大豆。地元で栽培された黄大豆、青豆、黒豆をミックスして作るというぜいたく。



煮汁(あめ)に塩を入れ保存しておく。この「あめ」と呼ばれる汁が、実はのちの仕込みに使われるのですが、味噌玉を干している間、とっておくというのが驚きです。


唐臼での味噌搗き

一番のハイライトは、唐臼での味噌搗き。
唐臼は、古民家に置いてあることが多いですが、実際に使ったのは初めてでした。
今回は、豊原公民館に置いてある展示品を使わせてもらったのですが、本来は、臼は土の中に埋まっているのだそう。土が衝撃を緩和してくれるようですが、今回は臼の下にクッションをひいて対応。

炊きあがった大豆を唐臼で搗く「みそつき」は子どもの仕事で、昔は妹を背負って搗いたのだとか。実際やってみると、たしかにみそつきなのだと実感します。

もちを搗いているかのように、ぺったん、ぺったん、合いの手が素手で豆をまとめていく。そしてやがて唐臼は楽器となり、みそつき唄がはじまります。


昔の麹づくり

ぺったん、ぺったんしている間、昔は麹をどうやって作っていたのか、聞き書き。麹を使わないやり方もあれば、麦麹や米麹をつくることもあったそう。

明治生まれのおじいさんは、シイラ(コゴメ)を蒸して、麹蓋に広げ、稲玉麹をふりかけて作った。麹は、老人が寝てる部屋(ナンド)でおこすことが多い。寝室は麹だらけになっていたとか。


味噌玉づくり

大豆1升で4−5個の味噌玉をつくる。手を丸め、上の方を細く、円錐形に。思っていたより、でかい。大きさは握る人によっても変わるし、形も家庭によって様々。

2つの部屋で作っていたのですが、見事に部屋の違いが現れました。きっと、こんな風に、家庭によってつくり方が違ったのでしょう。

昔のレシピ本には、はっきりした分量が書いておらず、かわりに「いい塩梅に」とか「適量」といった書き方がしてある。

家庭によっても、季節によっても、その日の室温や湿度によっても、また、その食材の栽培方法や吸水率によってもレシピは変わってきます。きまったレシピなんて本来ないはず。これだけは体感して学ぶしかないのです。そして、自分の味にしていくしか。


次に、無農薬の稲藁で縛っていきます。まず、2本の稲藁をクロスした上に味噌玉をのせます。上で一回転縛り、しめ縄を撚る要領で縄を編む。

このとき、右手を内側に寄せると福を招き、右を押し出すのは福が出て行くと言われるそう。





煙のたつおくどさんの上に吊るしておくと、煙で燻されてカラカラにひび割れてきて、青カビがつきます。
冬の間干しておくところや1年干しておく家庭もありますが、田和さんちでは4−5日干す初午の日に唐臼で搗き、粉にする。とっておいたあめを加える。

続きの行程は次回!


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『日本の食生活全集29奈良の食事』
1992年10月 農山漁村文化協会


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