たねはどこにある?

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だいこん、きゃべつ、にんじんの花を見たことがありますか?

ふだん、根っこや葉っぱを食べている野菜は、花を咲かせる前に収穫されています。
いわば、人生を謳歌することなく、青二才のときに引っこ抜かれてしまうわけです。

では、収穫せずにそのまま畑においておくとどうなるのでしょうか。

これらの野菜は、春になると、トウ立ちして(花芽分化といいます。条件はいくつかありますが、のちほど書きます)、びよーんとトウが立ち、花が咲きます。そして、花が散ったあとには、タネができます。


■ダイコンとカブ
ダイコンの花
ダイコンの鞘と、カブの鞘をくらべてみると、ダイコンは比較的大きな粒がごろごろと入ってますが、カブの鞘は細長く、小さな種がいくつも入ってます。

タネを蒔くときは、ダイコンは土に穴をあけて、数粒点蒔きしますが、カブは、筋蒔きにします。
ちょうど、鞘が自然に落ちて、鞘ごと土に刺さった状態を想像してみてください。

タネを観察すると、それぞれ植物がどうやって生存してきたのかがわかります。
植物たちが生きてきた環境に近くしてあげることで、植物本来の力が発揮できるのです。


■ホウレンソウ


ホウレンソウには、雄株、雌株があります。
雄株が先に咲き、雌株があとで咲きます(雄株先熟)。
でも、ふだんホウレンソウを食べている時は、雌か、雄かなんて考えたことないですよね。

どうやって見分けるのかというと、成長初期は見た目は同じなのでよくわかりません。
ホウレンソウは長日植物なので、冬場はロゼット状態で過ごしますが、春になると抽苔してきます。

ロゼット状になったホウレンソウ。中心から抽苔が始まってきている。


勢いよくびゅーっと伸びて大きくなるのが雄、ちょっとづつ伸びてきて、付け根に花を咲かせるのが雌。そして、その中間型、両性株もあるようです。

雌株・雄株は、人間とおなじで1:1の割合。
でも、実際は、商品的に望ましい抽だいが遅いものが選抜されていますから、4:6くらいで雌株の方が若干多いのだといいます。
本当でしょうか?ぜひ観察してみてください。


綿、オクラにはどちらもアオイ科。よく似た花が咲きます。


シソの葉もほっておくと、穂紫蘇になります。

パセリの花

たねができないものもある? 

サトイモ、ジャガイモなどのイモ類は、通常は種イモで増やしますね。
アサツキ、にんにくは、球根を植えます。
ヒガンバナ、バナナなど、3倍体の植物は通常タネをつけません。
キク科のハンダマ(金時草)も、日本の環境では花をつけないので、挿し芽をして増やします。

サトイモ(温帯性の3倍体と熱帯性の2倍体があります。)やジャガイモも、花を咲かせるので、タネができないこともないのですが、タネから育てると時間がかかる上に、栄養生殖の方が遺伝的に安定するので芋で増やします。育種するときは、採種することもありますが・・・。




写真:じゃがいもの育種(potato breeding center: Solana, Germany)




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